超高速!参勤交代 リターンズの紹介:2016年日本映画。遠足は帰るまでが遠足。それは参勤交代も同じでした。実は前作「超高速!参勤交代」は国元から江戸に向かう往路…つまり参勤でしかなかったのです。江戸から国元にに帰る復路は、交代。今回は、帰り道の話です。前回の倍で帰らなければいけない非常事態とは、一体、国元で何が起こったのでしょうか?
監督:本木克英 出演:佐々木蔵之介(内藤政醇)、深田恭子(お咲)、伊原剛志(雲隠段蔵)、寺脇康文(荒木源八郎)、上地雄輔(秋山平吾)、知念侑李(鈴木吉之丞)、陣内孝則(松平信祝)、西村和彦(相馬兼嗣)ほか
映画「超高速!参勤交代 リターンズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「超高速!参勤交代 リターンズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「超高速!参勤交代 リターンズ」解説
この解説記事には映画「超高速!参勤交代 リターンズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
超高速!参勤交代 リターンズの予告編 動画
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:信祝の再始動
日光社参で恩赦が出ました。前回、老中を罷免され蟄居謹慎していた松平信祝です。それを通告するのは叔父の輝定でした。1カ月大人しくしていた甲斐があり、ほくそ笑みます。それでも顔、特にまぶたのアイシャドウが濃くなっているのは、謹慎でやつれたか、より復讐心に燃えていたからかもしれません。謹慎明けに、まず信祝がはじめたのは、呪術用の式神(人型の紙)に粛清対象の名前を書くことでした。当然、こけにされた湯長谷藩のあの連中も含まれていました。そして、登城します。すると、失脚した信祝に嫌味を言う連中がいます。それどころか足を引っ掛け転ばします。でも信祝は急いでいるので、小者の瑣事につきあっている暇はありませんでした。籠城の会議で、湯長屋藩の一揆が話題に出ました。他の者は「内藤のことだから、10日もあれば、うまく治めるのではないか」と言いますが、信祝は、将軍吉宗がいない日光社参の時期だからこそ、綱紀粛正をしなければいけないと主張します。一見、理にかなっているので、他の老中も反対できませんでした。結局、湯長谷藩は、お取り潰しになりました。まだ目付からの報告も来てないにも関わらずです。それを、先ほど無礼を働いた小物どもに書面として届けます。帰り道、赤い仮面で右側だけ隠した男に襲われます。もう一人は、料亭の前で坊主に爆殺されました。2人は、信祝の館で落ち合い、次の作戦に進む。
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:牛久で祝言
その頃、その湯長谷藩の面々は、牛久の宿で4代藩主・内藤政醇と側室になるお咲の祝言をあげていました。前作、お咲のために身を張って守った政醇が惚れられたのも無理はありません。でも、その見受け金は30両(210万円)。この1カ月、家臣たちは様々な方法で金子を用立てたようです。台所方の今村清右衛門は得意の包丁で、どこかの厨房で腕を振るっていました。荒木源八郎は道場破りをして、看板の代わりに道場主から金子を儲けていました。増田弘忠は猿の菊千代と猿回しをして、稼ぎます。菊千代がおじきをして、せっかくもらった、おひねりを背中に背負った駕籠からこぼしてしまって慌てて拾う場面も。鈴木吉之丞は矢場で、的の3連打ちを達成し、主人から賞金あげるから帰ってくれと頼まれてしまいます。周りでは女性がキャーキャー騒いでいます。ところで、この矢場は幕末辺りに出来たものです。なので、吉宗の時代の100年以上後です。そして、よく時代劇で「当たり―」と言っていますが、この矢を拾った女性が買春のお相手になるというシステムだったそうです。その後のシーンがある時代劇は見たことありませんが。通常、参勤交代は1年、江戸に留まる必要がありますが、前回はその1年の江戸滞在の後、4日で国元から江戸にもどるイレギュラーが生じたために、すぐに帰ってもよかったのですが、無一文のため、金子をためるために1カ月留まっていたのでしょう。それが、政醇に隙が生まれたと言っても仕方ありません。同じく、幕末に参勤交代をする時代劇「一路」では、100人の12日の参勤に100両(700万円)が必要でした。湯長谷藩は7人とはいえ、時々100人の行列を見せなくてはいけないため、少なくとも30両(210万円)は必要になります。でも、その金で祝言を上げているので、もう1カ月滞在するつもりだったのかもしれません。主役の新郎のはずの内藤政醇は、雪隠の扉を開けて、荒木に見張らせています。露出趣味がある訳ではなく、閉所恐怖症なのです。前作で治ったはずでしたが、ぶり返したようです。荒木は「これは殿、荒療治が必要ですな」といって扉を閉めてしまいました。慌てて飛び出してくる政醇の両脇を抱えて、祝宴の上座に座らせてしまいます。祝言が進むさ中、もう一人の主役である新婦のはずのお咲は、入ろうかどうか迷っていました。というのも、今村と増田が親戚筋は、元遊女の側室を認めたがってないと話していたのを立ち聞いてしまったのです。でも、女中に「お咲ちゃん、何してるんだい?」と手を引かれて、上座に連れて行かれ、座ります。お咲は思い切って、政醇に打ち明けようとします。「私やはり、この婚礼やめ…」そこに今村と増田が鳴り物入りで踊りながら入ってきます。つい、家老の相馬も踊り出しそうになって、気づきます。「やめいやめい、縁起でもない念仏踊りなんて踊りおって。つい踊りそうになったわい」今度は神主の紛争をして番頭が三々九度をしようとして飛び込んできます。「かしこみかしこみかしこみ申す」しかし、もう一人息も絶え絶えで飛び込んできました。江戸家老の瀬川です。政醇が「おお瀬川、お前も祝いに来てくれたか」「殿、それどころではありません。一揆です!」
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:一揆発生
江戸から、現在では牛久大仏でお馴染みの茨城県牛久市まで、約45km=約10里あります。徒歩で10時間。走れば5時間、馬、当時はポニーですが、時速40km/hで、頑張れば1時間で到着できそうですが、実際、1頭の馬の1日の移動距離は40~80kmと言われています。馬が潰れないように休ませる必要があるからです。ただ、各宿場で馬を乗りかえれば、江戸の日本橋から牛久まで3つの宿場があるので、2~3時間で辿り着いたのかもしれません。政醇は聞き直します。『瀬川、今、何といった?』「だから一揆です」家老の相馬は「おかしいではないか。殿は民から慕われておる。一揆なんか起こるわけはなかろう」瀬川は言います。「問題はそこじゃありません。既に目付が湯長谷に旅立ちました」「何だと? それは早い。」『で、目付はいつ、湯長谷に着くのじゃ?』「早くて2日」「早すぎる」『スマン。旅籠の方々。祝言はしまいじゃ』藩元で一揆つまり反乱が起これば、監督不行届で、お取り潰しになってしまいます。なので、目付より先に帰り、一揆を平定しなければいけません。政醇は相馬に言い増す。『相馬、3つ数える。その間に対策を考えろ』「そんな無茶な」『1つ』「思いつきました」「「早」」「金もなければ時間もない。ならばやれることは、飲まず食わず眠らずに走って走って走りぬくしかありません」「そんな無茶な」「藩が潰れるよりマシであろうが」「行きは参勤。帰りは交代。さー、各々がた、走りますぞ」お咲は言いました。「私が、この旅籠で働きます。祝言代を皆さんで交代の資金に使ってください。」お咲は元、この旅籠で働いていた遊女でした。イケメンの鈴木が言います。「お咲さん、我ら、殿の奥様に、そんなことを頼めません」政醇も言います。『お咲は、駕籠を用意するゆえ、後からゆっくり来るがいい』
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:交代開始
政醇と家臣5人を合わせて6人は、旅支度を整え、夜も明けぬうちから走り出します。その後を何者かが追っていきます。一方、お咲は夜が明けてから、6人で担ぐ早駕籠に乗せられます。揺れるため舌をかまないように手拭いを噛まされます。江戸家老の瀬川は一緒に走って行きます。牛久宿から、湯長谷藩まで40里(約160km)茨城県牛久市から福島県いわき市まで、常磐自動車道を使っても156.9kmなので、現代も然程、距離は変わりません。さて、ここで疑問が起きます。江戸ー牛久間が40km(10里)、牛久ー湯長谷間は160km(40里)なら、江戸ー湯長谷藩までの距離は200km(50里)なので湯長谷藩で一揆がおき、江戸に知らされて、目付が湯長谷に到着する期間は早くて4日ということになりますが、どう考えても、湯長谷藩の一揆を知らせる時間が抜けています。だから、信宿は一揆の発生をあらかじめ知っていて、目付を出来るだけ早く出発させていることになります。勿論、湯長谷藩から江戸まで13ある宿場の飛脚がリレーをすれば、200kmある行程を1人15km走ればいいので、13時間、約半日で伝達することもありえるのですけれどね。馬ならもっと早くです。水戸と大沼の間には那珂川があります。政醇が今にも沈みそうなボロ船から水をかき出し、家老の相馬は竹竿で舟をこぎ、他の4名は着物を頭に乗せて、ふんどし姿で泳ぎます。既に牛久から土浦、竹原、水戸と、3つの宿を通り過ぎ、これなら間に合いそうだと油断した時でした。相馬の漕ぐ竹竿が何かに引っかかり、ドボン。相馬は水の中に落ちてしまいました。「おや、家老も泳ぐのか?」他の者が呑気に見つめてると、ガボガボとか言っています。「助…けて、溺…れる」「そうだった、ご家老は泳げない」そう言った、イケメンの鈴木は相馬を助けるべく、近づいていきます。その時です。上流から流れてきた丸太は鈴木の後頭部を直撃します。相馬は、丸太にしがみついて助かりましたが、脳震盪を起こした鈴木は流れていきます。(実際は、足がつく浅瀬での撮影だったそうで、相馬役の西村さんは熱演しすぎて、水を飲んだそうです。)丸太は無事、岸に流れ着き、他の者と合流しました。「ご家老、無事だったか。ところで鈴木は?」「うう、鈴木は、この丸太が直撃して流れて行ってしまいました」「ご家老、大丈夫だ。鈴木は泳げる」『鈴木も生きていれば、じき追いついてくるであろう。我らは一刻も早く国元に帰り、一揆を沈めるのじゃ』そういって、書置きを残し、薄情にもさっさと行ってしまいました。相馬は、一応、助けようと思ったのでしょう。無我夢中で掴んでいた鈴木の白ふんどしを、漕いでいた竹竿に結び、後に続きます。脳震盪を起こしていては、泳げても溺れるでしょうし、参勤交代中に、死者や脱落者が出ても、お咎めは喰らうのですが、その辺はお構いなしです。
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:水増し行列
鈴木の脱落はありましたが、順調に交代は続きます。大橋、大森を通り抜け、大沼まで来ました。一度は参勤交代らしい行列を見せねばなりません。そこで家老の相馬は行列に必要な道具や人夫を集めてきました。しかし、十数両で集められたのは、他の藩が残して行った、各藩の家紋が入った道具に、20人くらいの人夫です。『相馬、参勤の時よりも少ないが大丈夫なのか?』「殿、任せておいでください。万事、抜かりはありません」関所では、暇そうにあくびをしている行列改めの役人が2人いました。既に通過することを知らせてあるようです。「やっと来たか。」「おい待て、あれは何だ?」大名行列ですが、全員が黒い布をかぶっています。それでは、どこの藩か分かりません。相馬が来ました。「我らは湯長谷藩の大名行列、交代の途中でござる」「一体、何人の御行列でございますか?」「湯長谷藩は1万5千石、それゆえ百人でございます。」「それはご苦労なことでありますが、何ゆえ黒い布を?」「畏れ多くも8代将軍・吉宗様が現在日光社参にお出かけの折、我らも神君・家康公の御魂の喪に服さんと、せめてもの葬式衣装に身を包んでいる次第でござりまする」「それは殊勝なことで、でも、その猿は」「控えおろう。これこそは、上様から賜った神猿・菊千代さまでござるぞ」「「ハハー」」「キキー」「菊千代様、落ち着いてくだされそんなやり取りの間、大名行列は続いているのであるが、時々、後ろに下がっていたwしかも真ん中の3列はカカシである。両端で竹竿に通した3つのカカシを持った2人x10列が5回戻って100人に見せかける作戦である。相馬とのやり取りで行列改めの役人は見ていない。勇ましい「下にー下に―」の声だけを聴いている。そして、間もなく通り過ぎようとする時、相馬はダメ押しの切り札を出す。「これは、先ほど、拾ったものであるが」といって取り出したのは、何やら乳が見えている。「昨今、風紀が乱れておる。そちらで処分して頂けぬか」役人は春画と勘違いし、「それはけしからぬ。分かりました。当方で処分しておきます」そう言って取り合いを始める。「しからば、ゴメン」そう言って、そそくさと相馬は言ってしまいました。そして、2人の役人が引っ張り合いをし、つい力が余って、その全てをさらしてしまった時に見えたのは、2人の力士の立ち合いであった。上役が下役にその処分を押しつけるのであったw
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:コロリ
大沼を超えれば、後は高萩の関所を超えるだけです。でも、何やら検問が行なわれていました。千里眼の増田は手配書に自分たち湯長谷藩が書かれているのを見つけました。何故、手配されているのか分かりませんが、今捕まっては一気を鎮められません。相馬は死人を乗せた棺桶を運ぶ人夫をみて思いつきます。『殿、我ら死ぬしかございませんぞ』「ご家老、何をいいだすんで」と今村が相馬の首を絞めます。「そうではない。苦し… ガク」つまり、死人のふりをして関所越えをするということです。政醇と相馬、そして増田と菊千代が棺桶に入ります。死体の入った、棺桶ならぬ、樽を大八車で運ぶのは、荒木と今村です。当然、関所の番人に怪しまれます。「それは何だ?」「へー、流行り病で亡くなった者を運んでいる最中でして」「怪しい。中を改めよ」「いけませぬだ。コロリで死んだもので、死体に触ると伝染ってしまいますだ。ナンマンダブ、ナンマンダブ」「ならば、触らなければよかろう」番人はお構いなしに、桶を引っくり返します。すると中から、舌に苔まで生え、見事なアンデッドメイクの政醇と相馬が転がり出てきました。(コロリとはコレラのことです。コロリと死ぬから、当時、そう呼ばれていました)「う、これは。手配書と似ても似つかぬ。だが、賞金がかかっておる。もう一つの方も確かめよ」でも、その時、奇怪な音と声が聞こえてきました。この世の者とは思えません。でも、単純に、樽の中の菊千代が鳴き、樽の中で引っ掻いただけです。樽の中で反響し、増幅し、不気味に聞こえただけでした。増田が慌てて、なだめます。今村と荒木が「祟りじゃー。ナンマンダブ、ナンマンダブ」と騒ぎ出すので、番人も気味が悪くなって、「もうよい、さっさと片付けろ」と諦めました。相馬と政醇は自力で戻りましたw 死体なのにダメでしょw 映画を見る観客の中からも笑いが、こみあげていました。その頃、鈴木もまた、岸に流れ着き、洗濯女たちに「可愛い土座衛門さん」とか言われてます。ふんどしを締めてないので、見られ放題です。目を覚ました鈴木は、慌てて隠します。鈴木は現状を把握します。「ここはどこですか?」「大橋の渡しなら、そこだけど」どうやら、川は渡っていたようです。「ありがとうございます。しからば、これで御免」濡れた着物では走りにくいので、洗濯女たちの1人が女物の着物を貸してくれました。道中、政醇の書き置きと相馬が残した白ふんどしを見つけました。ふんどしは乾いてます。鈴木は、2つを掴みとり走り去っていきました。
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:刺客襲撃
その頃、前作で参勤の案内を終え別れていた段蔵は、アバラ屋で娘と一家団欒をしていました。「お父ちゃん飲み過ぎてはダメよ」そう言って注がれるのは水なのですが、娘に注がれては水も高級な酒です。そこに何者かが襲いかかってきました。一難去って、また一難。峠を越えれば湯長谷藩というところで、山賊が現れます。いえ、信祝が差し向けた尾張柳生の忍者軍団でした。中には赤い半仮面をかぶった柳生幻道もいます。それだけではありません。前作、参勤の時に、世話になった雲隠段蔵の姿も見えます。でも襲い掛かってくる以上、戦うしかありません。丸2日走り通しの癖に、湯長谷藩の6人は強いです。荒木に至っては徒手空拳で戦います。それを気に入った諸坂三太夫は、剣を渡し、「抜け」荒木は構えます。「小野流か?」「その構え、柳生か」「何ゆえ、こんな使い手がこんな田舎大名に仕えておる」そう言って、2人は切り合います。一方、段蔵は政醇を襲います。『段蔵、何ゆえに』「殿すみませぬ」理由は分かりました。段蔵の一人娘を幻道が人質にとっていたのです。政醇は笑いました。『ハッハッハ、段蔵は裏切っておらぬ』そう言って剣を捨てます。他の者もそれに倣います。幻道は言います。「段蔵、チャンスだ。切ってしまえ」でも、段蔵も武士の端くれ、丸腰のしかも、恩義がある政醇を切ることなどできるはずもありません。その時でした。猿ゆえにノーマークであった菊千代が幻道を襲い、相馬が娘を助けました。それを見て段蔵は、柳生を裏切り、湯長谷藩に寝返ります。相馬は段蔵は瓢箪を投げ渡します。「報酬じゃ」段蔵は「ありがてぇ」と一気に飲みます。酒です。結局、柳生の刺客たちは撤退します。
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:敗戦落城
湯長谷藩は落城していました。尾張柳生の旗が立っていました。それどころか、城門前で湯長谷藩ののぼりが焼かれていました。事情を聴くと、既に目付は帰った後でした。間に合わなかったのです。場内にいた者は、怪我こそありませんが一カ所に固められて、どこかに押し込まれているそうです。田畑も荒れ果てていました。間もなく収穫という時期でした。それどころか水路まで壊され、蓄えていた米俵も全て略奪されていました。次席家老の福田が腕を折りながらも逃げ延びていて、一揆に扮した侍軍団が城に攻め入ったことを説明されます。侍軍団は尾張柳生です。そして、目付から信祝の命令であったことが分かります。「でも、信祝は蟄居謹慎処分になったはず。」「それが将軍様の日光社参で恩赦が下ったそうで」全てはつながりました。政醇は言います。「おのれ信祝め」その頃、江戸では湯長谷藩お取り潰しにより、江戸屋敷からも追い出されていました。政醇の妹、琴姫に秋山が脱藩を願い出ます。『秋山、これからどうするのじゃ』「知れたこと、この全ての元凶、信祝に一太刀浴びせてきます」「秋山、待つのじゃ」でも秋山は言ってしまいました。でも、秋山が信祝の屋敷に踏み込もうとした時、傘をかぶった着流しの侍に止められます。「待つのだ。ついてくるがいい」 秋山は、はやる気持ちを抑え、とりあえず同行します。その侍の正体は大岡忠相でした。つまり南町奉行所の「大岡越前」守です。町奉行職は南北に別れ、現在の東京都知事、最高裁判長、警視長官、消防長官を集約した業務を兼任していました。大岡は言います。「江戸での騒ぎは許さん」「しかし我が藩は信祝に潰されてしまいました」「まー待て。江戸での騒ぎは…といった」「すると?」大岡も信祝をある嫌疑で内偵していたのでした。それは、2人の幕閣殺しの一件です。そして、大岡は2人の容疑者のうち、1人の居場所を突き止めていました。その頃、何故か信祝も尾張の徳川宗春に謁見し、次期将軍職を約束し、残りの柳生を引き連れて、湯長谷に向かっていました。憎き内藤政醇に直接切腹を申し付けるためでしたが、他にもたくらみがありました。爆弾殺人犯人の破壊僧の森極蔵は囮でした。秋山と大岡は二手に別れ、撃退します。そして、大岡は裁きの際、信祝と関係があるように見せかけて、森に自白させ、秋山は忍が持っていた暗号文を解読し、日光からの帰路途中の吉宗を襲う将軍暗殺計画を看破します。もはや信祝は天下の大逆人となりました。裏が取れたので、大岡越前守率いる南町奉行所も動き出します。信祝が湯長谷藩に向かっているのは、将軍暗殺達成時に、信祝が江戸にいなかったことにするためのアリバイ工作のためでもあったのです。一方、日光社参を終えた吉宗の元にも信祝の動きは伝わっていました。「内藤に、また迷惑をかけたな。」(でも、弱い者は切り捨てる吉宗… 今回も政醇と湯長谷藩は自力で切り抜けるしかないのです。)
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:人質救出作戦
とりあえず、民百姓の暮らしを建てなおさなくてはいけません。政醇は民の窮状を聞き、まず、相馬が思い出した、水路前に使っていた古井戸を復活させることにしました。でも、覗き込み過ぎた相馬が落ちました。相馬が溺れると言うことは水はあるそうです。色々することはあるので、相馬を助けてる暇はありません。後の戦いに参戦しているので相馬は無事だったようです。お咲の早駕籠も湯長谷につきました。江戸家老の瀬川も少し遅れて辿り着きます。お咲は炊き出しの手伝いをします。でも、それまで遊女暮らしが長く、握り飯も上手に握れません。それでも何とか見よう見まねで握れました。他の女たちからも褒められ、「私どもと気さくに話が出来る、お咲さんこそ、殿のお嫁さんにふさわしい」と言われます。でも、鎖鎌を振り回す忍者が現れ、お咲は、他の者を守る為、進んで人質になります。さらに柳生は、茂吉の大根畑に縄張りをして、立ち入り禁止にしてしまいました。百姓の田畑を柳生道場にするそうです。こいつら、どうやって食糧を確保する気でしょうか?その夜、荒木と諸坂は露天風呂で邂逅しますが、お互い丸腰ということもあり、休戦します。諸坂は尾張柳生の再興に興味はなく、ただ戦いの場が欲しいだけのようです。荒木は「その時は近い」と言い残し、風呂から出ます。奪うものと守るもの、どちらも、それなりの大義はあるようです。信祝と柳生の千人の武者部隊が迫ってきてます。政醇は決断を迫られます。まず人質を救出することにしました。段蔵が偽の使者として「湯長谷藩中で一揆がおこった」と知らせ、柳生が占拠する湯長谷城に潜入します。まんまと、信祝と柳生本隊が、到着する前に城を奪い返されては一大事と、城にいた柳生の別働隊の大半が城を出てしまいました。今村は槍に包丁をつけ、蔵内に投げ込みます。勢い余って堀に落ちます。中で荒木の嫁の富江が人質救出作戦が進行中であることを知ります。隠していた大小の刀を床下から取り出し、厠に行くふりをして番人の膝を突き刺し、自ら脱出に成功します。荒木も助けに来て、合流しますが富江に「来るのが遅い」と説教され、「はい、スイマセン」と謝っています。武芸百般に秀で天下無双の荒木であっても恐妻家のようです。一方、政醇はお堂の中で、縛られたお咲を見つけます。でも罠でした。鎖鎌の忍者が待ち受けていました。でも段蔵が守ります。お咲は、再会の喜びと不安だったこともあり、感情をぶつけます。お咲が一方的に惚れただけ。でも政醇は、そんなお咲を優しく受けとめてくれるだけ。段蔵は言います。「今それどころじゃ」男と女、気持ちを確かめなければ進めない時もあります。政醇は、「お咲、お主に会った時から、ずっとワシはお主に惚れとる」。鎖鎌の男はお構いなしに襲いかかってきますが、敵ではありません。ラブラブの2人を邪魔する無粋な輩は馬に蹴られずとも政醇が恋話のついでに仕留め、段蔵がとどめを刺しました。また、今村と増田も女中を守りつつ苦戦していました。そこに馬で颯爽と駆けつけたのは鈴木。屋根に這い上り、矢を射かけます。でも鋼の甲冑をまとった忍者が立ちはだかります。でも、イケメンは慌てません。こんなこともあろうかと螺旋の溝が彫られた穿孔矢を放ち、ドリルの回転で、見事回転させたのでした。女中たちはキャーキャー騒いでます。今村と増田は言いました。「イケメンは得だな」「んだんだ、努力なんて無駄だな」段蔵と政醇、今村・増田・鈴木・菊千代、そして相馬と荒木が揃ったところで、囲まれました。諸坂と幻道が騙されたフリをして待ち構えていたのです。荒木と諸坂は一対一の果し合いを始めます。しかし、奪うものと守るもの、モチベーションは荒木の勝ちでした。そして幻道は、諸坂にとどめを刺そうとします。でも政醇が止めました。『仲間を殺すのか。』「柳生に敗者はいらぬ」その隙をついて、諸坂は幻道を背後から刺しました。「我らはつくお方を間違えた。非道の剣は柳生に非ず」「内藤殿、我ら、このまま尾張に帰ります。ですが、一言だけ忠告。信祝は湯長谷藩のお取り潰しだけでなく、将軍吉宗公の命まで狙っておりまする。気をつけなされ。」
超高速!参勤交代 リターンズのネタバレあらすじ:最終決戦
信祝にも「湯長谷城が奪い返された」と連絡が入ります。千人が戦支度を始めました。柳生は真田幸村軍のような赤備え。信祝は尾張柳生が配下のせいか、織田信長の西洋甲冑を身にまとって、出撃です。政醇も甲冑を身にまとい、1人で立ち向かうつもりで、残り6人に暇を出します。でも、ここで、政醇を見捨てる湯長谷藩の家臣ではありません。「殿、軍師なくして戦に行くなど古今東西聞いたこともありませぬ」「拙者もお供仕りまする」「拙者も」「ワシも」「俺も」かくして7人の武者と一匹の猿が立ち向かいます。お咲は見送るだけです。「女の私には見守るだけしかできないのですね。」でも次席家老の福田と江戸家老の瀬川が言います。「何の、帰りを待つのも戦でございます」千人の軍勢の前に6人と一匹が立ちふさがりました。信祝は、政醇に切腹を申し付けますが、政醇は『目付に湯長谷藩はお取りつぶされ、今や浪人の身ゆえ、切腹いたさぬ。将軍吉宗公のお命を狙う不逞の輩・天下の大逆人、松平信祝。天に変わって我らが成敗いたす』「ぬかせ、者どもかかれ」でも、その時、煙幕で視界が悪くなりました。草むらに潜んでいた段蔵が煙玉を投げたからです。乱戦になりました。信祝も馬が暴れるので、下馬し、右往左往しています。煙が見え、信祝の首とり達成かに見えましたが、間一髪、木の盾で守られます。でも所詮、木の盾です。蹴破り、今度こそと思いましたが、今度は鉄の盾です。流石に、今度は突き通せません。信祝が言います。「これがワシの力じゃ。金と権力さえあれば、如何様にも出来る。田舎大名の貧乏人は、素直に踏みつぶされよ」政醇は言います。『人が信じられるのか。哀れな信祝よ、湯長谷に来ぬか?確かに貧乏暮らしじゃが、ここには民も豊かな土地もある。少なくとも、誰もお主を裏切らぬ。』信祝「貴様、ふざけているのか? 何をしている。早う、この者を切れ」尾張柳生も思うところがあったようです。「時期尚早じゃ。我らは尾張に帰る」「何を言う? 待て。あの老いぼれが」そして、大岡越前守がやってきました。孤立した信祝に役人がサスマタで、取り押さえようとします。縛られた破壊僧・森極蔵を引っ立てて「この男が、お主の企み、全て自白したぞ。神妙に観念せい」「何をバカなことを。町奉行ごときが、老中のワシを捕まえるだと?」「信祝、大概にせい」そう言って、出てきたのは信祝の叔父であり、老中首座でもある松平輝定でした。乗馬ムチで、信祝をしばいた後、「もうワシの甥でもなんでもない。勘当じゃ。」流石の信祝も観念しました。輝定は、「こたびの甥・信祝の不始末。重ね重ね申し訳ない」政醇は言いました。『我が藩が望むのは、ただ一つ。湯長谷の民と土が元通りになることのみでございます』遅ればせながら、湯長谷藩の百姓たち十数人が、オラたちの殿、政醇を守るべく、駆けつけました。輝定は言います。「よき部下、よき民を持ったな」『私にはもったいない者達であります』信祝は兜を脱ぎ、縛られようとするのを断り「腐ってもワシは老中。逃げはせん」と最後までふてぶてしく
大岡に続き、江戸に引き上げていきました。ひと段落つきました。政醇は言います。「これにて湯長谷藩の参勤交代、終了」全員で大喜びしました。
超高速!参勤交代 リターンズの結末:大団円
その頃、江戸城では、吉宗が輝定から事の顛末を聞いていました。「内藤は、また湯長谷の土と民を守ったのか。民は国の宝。それなくしては、この国は成り立たぬ」「ところで上様、信祝が遠島ではなく他家預かりとは我が甥とはいえ、御沙汰が軽すぎるのでは?」「あの男、歪んではいても、優秀ゆえな、此度の件で心を入れ替えしてくれればいいのだがな」「ははー、ありがたき幸せ」湯長谷藩では、見舞いの助成金も出て、水路の復興が行なわれていました。お咲も炊き出しの手伝いをしています。イケメンの鈴木に、今村と増田が「そろそろ所帯をもったらどうだ?」「そうでなくては、他の男どもが困る」鈴木は炊き出しの方を見て言います「いや、私にも心を決めた方がいるのですが、なかなか振り向いてもらえないのです」「誰だ?それは、お主を振るような女子とは?まさか」お咲かと思えば、その横の馬面の年増女でした。でも、その年増女が握ったお握りは今村に進呈されました。鈴木は羨ましそうに見ています。水路が復旧したので、いわき名物の念仏踊りがはじまりました。「殿、お咲さんも早く早く」政醇とお咲は手を取り合って、土手下に駆けていきます。エンディングは前作の参勤(交代)ダイジェスト。海辺を走り、川を泳いで渡り、民家の周りをグルグル回って、行列を水増ししています。
以上、映画「超高速!参勤交代 リターンズ」のあらすじと結末でした。
超高速!参勤交代 リターンズのレビュー・感想:史実との違い
1735年、徳川8代将軍・吉宗の日光社参が行なわれることになりました。13万人の行列は先頭が午前2時に出発し、最後尾は午前10時の出発になる程の10時間の差がある大行列でした。将軍家の威信を見せつけるためのものですが、約20万両(1両7万円計算で140億円)かかり、それまでの享保の改革の倹約を台無しにするものでした。名君と言われる吉宗ですが、経済関係的には、あまり良かったとは言えません。米将軍というのも実は悪口です。享保の飢饉で農民も苦しんでいるのに、税率を4公6民から、5公5民にしています。(流石に、飢饉の時は、見かねた代官が減税をしています。)そのせいで、今回起こるヤラセ一揆ではなく、通常の一揆も日常茶飯事でした。あと、町人には年貢を納める義務もなかったと言うのも変な話です。その多くが農村から流れてきた者で、結婚するためには、田舎に帰る必要がありました。儒教の流れを組む朱子学に、商人や職人から税を取ってはいけない教えがあったからだそうです。だから、時代劇で、商人がお金を持っているのは当たり前のことです。そして、吉宗の経済音痴は孫の松平定信に受け継がれ、歌舞伎座を潰そうと「江戸郊外に移転させよ」と命令した時、「遠山の金さん」が当時、栄えていた吉原と浅草の中間地点の銀座に移動させ、現在も存続しています。この定信の後に出てくるのが田沼意次です。そして、その頃の時代を描いた映画が「殿、利息でござる」でした。吉宗を悪く書きましたが、5代綱吉時代の元禄バブルがはじけ、その上、飢饉も起こった享保年間は、いわば、昭和末期のバブルが崩壊した、平成28年の我々と同じく就職氷河期と思えば、難しい時代だったともいえます。今回の映画で、尾張の徳川宗春が黒幕っぽく描かれますが、贅沢をしていたように見える宗春の方が経済的才覚がありました。なので、あくまで映画として楽しみ、歴史的には、調べてみると、かなり映画と違って面白くもあります。ただ時代劇お約束を守ると言うのもエンターテイメントに必要なのも分かります。そして歴史的には徳川吉宗の日光社参は1728年です。1716年に将軍になり、12年経って干支が一巡した時期の日光社参は納得いくのですが、19年後なのは中途半端です。主人公である内藤政醇(ないとう・まさあつ)の藩主期間も1723年からで1725年に吉宗に御目見し、1727年に叙任しているので、別に1728年でもよかった気もします。「忠孝・倹約・扶助」を旨とする藩法を定めた後、意外に早世で1741年に31歳で亡くなっています。その年が政醇が行なった最初で最後の参勤交代の年でもありました。(だから映画2作の3回の参勤交代は創作です。それでも、水戸から1歩も出てないので、日本を漫遊する水戸黄門よりマシですが。徳川光圀が日本で最初にラーメンを食べたのは史実です)日光社参が1735年になったのは、このシリーズの悪役、松平信祝が老中になったのが1730年だからかもしれません。信祝は、1744年に病気を理由に辞職を願い出ましたが、許されず、4日後に亡くなっています。なので、史実では、吉宗は信祝をかなり頼りにしていたようです。そして、1745年に吉宗は9代家重に将軍職を譲りますが、大御所として実権を握り続けます。なので、前作で分かるように吉宗が非情という点だけは、割と史実通りと言えるかもしれません。