君の膵臓をたべたい(キミスイ)の紹介:2017年日本映画。住野よる原作のベストセラー「君の膵臓をたべたい」を実写映画化した切ない青春ドラマ映画。高校教師生活6年目を迎えた志賀春樹こと【僕】は教師を辞めることを考えながらぼんやりとした日々を過ごす。ふと【僕】はかつて唯一の「友達」だった山内桜良の事を思い出す。クラスの人気者だった桜良は誰にも言えない「秘密」を抱えていて、【僕】がその秘密を知ったことで桜良との関係を築いていく。あまりにも儚い2人の過去と現在。そして、誰にでも起こりうる日常の生と死を描く。「君の膵臓をたべたい」この意味を知った時、あなたはきっと涙するだろう。
監督:月川翔 出演:浜辺美波(山内桜良)、北村匠海(僕 / 志賀春樹)、大友花恋(恭子)、矢本悠馬(ガム君 / 宮田一晴)、桜田通(委員長)、森下大地(栗山)、上地雄輔(宮田一晴)、北川景子(12年後の恭子)、小栗旬(12年後の僕)、ほか
映画「君の膵臓をたべたい」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「君の膵臓をたべたい」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
君の膵臓をたべたい 予告編 動画
映画「君の膵臓をたべたい」解説
この解説記事には映画「君の膵臓をたべたい」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
1.「君の膵臓をたべたい」あらすじ:僕と桜良の秘密
男女共学の高校で国語教師をしている【僕】(小栗旬)は内気で寡黙な高校教師で、教育者としての立場を終えることを思い悩んでいました。職員室の机の引き出しにしまってある「辞職届」。ある日、母校でもあった勤務先の高校の図書館が老朽化の為に取り壊される事になったことで、図書委員をしている男子生徒の栗山と共に本の整理をする事にします。ふと、女の子の聞きなれた声にかつての高校時代の【僕】の「ある記憶」が蘇るのです。
それは12年前。【僕】(北村匠海)が高校生の頃、盲腸の通院でとある病院に来ていた【僕】は待合室で一冊の本を拾いました。それはクラスメイトの山内桜良(浜辺美波)のものでした。桜良は明るく、天真爛漫でクラスの人気者です。しかし、彼女はその底抜けな明るさと屈託ない笑顔とは裏腹に膵臓(すいぞう)の病気を抱え、生死の現実と常に向き合わなくてはならない体でした。その本は桜良の病気の事や本音が綴られた「共病文庫」という闘病日記だったのです。桜良は「君はその本を拾って私の秘密を知ったから責任を取って」と【僕】に言います。その日から恋人同士のような友達のような微妙な関係を2人は築いていきます。桜良は「死ぬまでにしたい事」を共病文庫に記しており、【僕】は「責任」としてその実行に付き合わされる羽目になりました。
2.「君の膵臓をたべたい」あらすじ:2人の距離は縮まっていく
まず、桜良は【僕】と同じ図書委員に立候補し、【僕】を「仲良しくん」と呼んでクラスのみんなをざわつかせます。クラスメイトと距離を置いていた【僕】にも唯一、声を掛けてくれる気さくな男子がいました。いつもチューインガムを持っているガム君・宮田一晴(矢本悠馬)です。彼は一見、誰とでも仲良くなれそうな性格にも関わらず、彼もまた【僕】と同じようにクラスでは孤立しているような様子がみられました。桜良と交流するようになってから時折、【僕】に声を掛け、「ガムいる?」といつも持っているガムを差し出してコミュニケーションをとろうとしてくれました。そして、桜良の親友の恭子(大友花恋)は、【僕】と桜良が仲良くなるのを快く思っておらず、いつも【僕】に突っかかってくるのでした。
桜良は、書庫の整理をしていても、本を順番に整理しようとしません。【僕】はそれを指摘しますが、桜良は「ちょっとくらい間違えたっていいじゃない。頑張って探したほうが楽しいでしょ?宝探しみたいで」と言うのです。「残り少ない時間をこんな事に使っていいの?」と【僕】が聞くと、「君に私の残り少ない人生の手助けをさせてあげます」と言う始末。桜良は親友の恭子にさえも自分の病気の事を隠していました。「恭子が知ったらきっと日常を取り繕うのに必死になって普通の生活が出来なくなってしまうから」と桜良は言います。「僕より大切な友達と過ごす時間のほうが価値があると思うけど?」と【僕】が冷たく言うと桜良はぎりぎりまで病気の事は隠したいと言うのでした。
3.「君の膵臓をたべたい」あらすじ:死ぬまでにやりたい事
人と心を通わせる事が苦手で孤独を好む【僕】と、明朗快活で無邪気な笑みを浮かべながら独特の接し方をする変わり者の桜良の距離は少しずつ埋まってゆきます。桜良はホルモンやラーメンを食べる、スイーツパラダイスに行く事に【僕】を誘ったり、唐突に旅行を計画して振り回します。2人は旅行中の部屋で桜良がやりたいと言い出した「真実か挑戦」ゲームを始めます。それはトランプを1枚づつ引いて大きい数字が出たほうが相手に、必ず真実を答えなければならない質問をするか、必ず実行しなければいけない挑戦を指示するというゲームです。
時にふざけながらもお互いの本音を吐き出す2人。桜良は【僕】に共病文庫に関して「私が死んだら読んでもいい、君だけには読む権利を与えます」と【僕】に告げました。桜良は【僕】に言います「私が死んだら、私の膵臓を君が食べてもいいよ。人に食べてもらうとね、魂がその人の中で生き続けるんだって」「私生きたい、大切な人たちの中で」と。
現在と過去が交差する中で、現実の成人した【僕】はふと、家にあった桜良の共病文庫に目を通し、自分の元に届いた恭子の結婚式の招待状への返事に悩んでいます。
また、過去に戻ります。桜良は「死ぬまでにやりたい事」の一つとして「男の子といけないことをする」という目的の為に両親不在の自宅に【僕】を呼びます。【僕】は桜良を傷つけたくない思いと異性にとぎまぎしてしまう複雑な心境を抱えつつ、何か馬鹿にされたような気持になり桜良を乱暴に押し倒しますが、ふと我に返り何も行動を起こさず家を出ていきます。桜良は「ごめん」と【僕】に謝り、【僕】も衝動的な行動をとった事を反省しました。大雨の中、クラスの学級委員長で、クラスメイトから桜良の次に一目置かれている男子生徒の「委員長」こと隆弘と偶然会います。隆弘は【僕】に「桜良の家でなにしてた?」と乱暴に問い詰めてきます。なんと彼は桜良の元恋人だったのです。「ちょっと強引だったから元彼と別れた」という話を桜良から聞いていた【僕】は学校にいる時の優しい「委員長」である彼に戸惑います。隆弘は【僕】の顔を殴りつけ、外の異変に気付いた桜良が慌てて家から出てきて2人を止めました。再び【僕】を家の中に入れてケガの手当てをする桜良。
4.「君の膵臓をたべたい」あらすじ:病状と退院後の約束
それからしばらくして桜良が検査入院します。【僕】はメールで彼女とやり取りしながら無事を祈るのでした。ある日、入院中の桜良を見舞った日、彼女から自分が死んだら恭子と友達になってほしいと頼まれ、恭子に声を掛ける練習をさせられる【僕】。その様子を病院に来ていた恭子は偶々耳にします。そして恭子は【僕】に「桜良に何かしたら許さない。あの子は強がっているけれど本当は繊細なの。桜良は私がいじめられて孤立していた時に声を掛けて助けてくれた存在」だと桜良との友情について【僕】に伝えるのでした。
ある日ふと、桜良から病院を抜け出して旅行に行きたい、満開の桜を見に行きたいという電話を受けた【僕】はいつもの桜良と何かが違う事を察して慌てて病院へ向かいました。入院が伸びたものの、いつもの様子と変わらぬ桜良にほっとしますが【僕】は「真実か挑戦」ゲームをしている時に何気なく桜良に聞きます。「君にとって僕は…、いや、君にとって生きるってどういうこと?」桜良は「誰かと心を通い合わせる事、誰かを認める、好きになる、嫌いになる、手をつなぐ、ハグをする、すれ違う。自分1人じゃ生きてるって分からない。だからこうして君といられてよかった。君がくれる日常が私にとって宝物なんだ。」と話します。桜良「私に生きててほしいの?」僕「とても」それを聞いて【僕】を抱きしめる桜良。そして、退院したら桜を見に行こうという約束します。
退院当日、待ち合わせ場所のカフェへ到着した【僕】は、桜良の到着を待ちながら彼女とメールをしていました。桜良からのメールに「君の爪の垢を煎じて飲みたい」と返そうとしますがそれをやめて【僕】はこう返事をします。「君の膵臓をたべたい」と。昔の人はどこか悪いところがあると他の動物のその部分を食べる事で病気が治ると言われていて、桜良はそれを何となく信じていました。そのメールを送った後、どんなに待っても桜良は待ち合わせ場所に現れませんでした。
5.「君の膵臓をたべたい」結末:通り魔の犯人、そして共病文庫に綴られた日々
【僕】は一人帰り道を歩いていると、ビルに設置された大型モニターから、通り魔事件についてのニュースが流れてきます。どこの誰とも分からない通り魔の犯人はすぐに逮捕されたものの【僕】との待ち合わせ場所に向かっている途中の桜良がその通り魔に刺されて死亡したのだという。愕然し呆然とする【僕】。
桜良がいなくなってしばらく、【僕】は桜良の死を受け入れることが出来ないまま過ごしていた。桜良は【僕】のことをどう思っていたのか、それを知る唯一の方法は共病文庫だった。桜良の家に行き、彼女の遺影に手を合わせた【僕】。そして桜良の母に伝えます。「お話があるんです、実は彼女の病気のこと知ってました。本当は怖くて来る勇気がありませんでした、でもどうしても見せていただきたくて、共病文庫。」すると桜良の母は、「あなたっだたのね。自分が死んだらこの日記をある人に渡してほしい、たった一人共病文庫のことを知っている人がいるからって、その人は臆病だから葬式には来ないかもしれないけど、でも絶対これを取りに来る。だから渡してほしいって。」と涙を堪えながら伝えます。
桜良の共病文庫には、桜良が【僕】と出逢ってからの日々や、亡くなるまでの心境が綴られていました。桜良はあんなにも人から好かれる純粋な性格なのに「君になりたいと思った」と【僕】に対する想いを内に秘めていました。また、桜を見に行く約束をしたあの日・・・桜良の退院日でした。まさか、通り魔による事件に巻き込まれるとは思わず、服を選び、お気に入りの赤いリュックを背負って元気よく母親に見送られてゆく桜良。母も娘の人生がいつ終わりを迎えるか分からない事を悟ったのか温かく玄関先で手を振って見送りました。これが生きている娘を見た最期の時となるとは思わなかったでしょう。「今日は退院の日!ついに退院だ!君と桜を見に行ける!」心をわくわくさせ、目を輝かせて待ち合わせ場所へ向かっていた矢先、桜良は背後から身勝手な通り魔によって生きる時間を奪われたのです。
そして桜良の母は【僕】に言います、「本当にありがとう、あなたのおかげであの子はしっかり生きることができた。」。余りにも唐突で儚い、そして、誰もがいつ今日明日の一日の時間を、生きている瞬間を永久に奪われるかもしれない現実は【僕】の心に突き刺さり、「お母さん、ごめんなさい・・・もう泣いてもいいですか?」と桜良の母に呟き、初めて桜良を失った実感を得て泣き崩れます。
6.「君の膵臓をたべたい」結末:恭子の結婚式
桜良の死から12年の年月が流れた現在、大人になった【僕】は桜良からかつて「君は教えるのが上手いから先生になりなよ」と言われたことを思い出します。現在の大人になった【僕】は教師になったものの辞職を考えている状況にいます。しかし、図書館で生徒の栗山とあと僅かな書庫の整理をしていると、桜良が大切にしていた「星の王子様」の本の中から2通の手紙が見つかりました。その手紙には、桜良が恭子と【僕】に宛てた手紙が入っていました。
桜良が書いた手紙を手に、結婚式を迎える恭子の元へ届けようと走る【僕】。そして【僕】が招待状の返事をしないまま到着した結婚式場には、桜良の形見であるイヤリングをした恭子と、恭子の結婚相手であるガム君が結婚式を挙げようとしていました。「突然来て場違いなのはわかっています、すみません。でもどうしても伝えないといけないことがあって・・・」不器用に言葉を口にして、恭子に桜良が綴った手紙「遺書」を渡します。それを読んだ恭子は桜良の想いに感動し激しく泣き崩れるのでした。そして、桜良が入院していた時に、自分が死んだら、恭子と【僕】が友達になる事を望んで、【僕】に恭子と話す練習をさせていた真実を知った恭子に、【僕】は言います。「僕と友達になってもらえませんか…!」。恭子は涙を流しながら【僕】に「はい!…なんでこんな時に…バカ!」と応えるのでした。
7.「君の膵臓をたべたい」結末:桜良から僕への手紙の内容
そして桜良から【僕】への手紙にはこう綴られていました。
「拝啓、志賀春樹君。ようやく手紙を見つけましたね。春樹。春樹って呼んでいい?前からそう呼びたかったんだ。短い間だったけどそばにいてくれて嬉しかったよ、ありがとう。病院で真実と挑戦ゲームをやったあの時、何を聞こうとしたか教えてあげる。それはね、どうして私の名前を呼んでくれないの?ってこと。だって春樹、私の名前を一回も呼ばなかったでしょ。最初からずっと君、君、君。ひどいよ。でもね、病院に忍び込んでくれた時、気付いたんだ。いずれ失うって分かってる私を友達や恋人、君の中の特別な誰かにしたくないんだって。でも私、そんな春樹に憧れてた。誰とも関わらないでたった一人で生きている、強い春樹に。私は弱いから友達や家族を悲しみに巻き込んじゃう。でもね、春樹はいつだって自分自身だった。春樹は本当にすごいよ、だからその勇気をみんなにも分けてあげてください、そして誰かを好きになって、手をつないで、ハグをして、うっとうしくても、もどろっこしくても、たくさんの人と心を通わせて私の分まで生きて! 私ね、春樹になりたい、春樹の中で生き続けたい、ううん、そんなありふれた言葉じゃだめだよね、そうだね、君は嫌がるかもしれないけど私はやっぱり、君の膵臓をたべたい。」
【僕】は教師を辞職する事はやめ、辞職届を破り、生徒達と新たな気持ちで向き合う決心がついたのでした。図書館では、桜良が当時のままの姿で【僕】の前に現れ、心が成長した【僕】をやさしい笑顔で見守っているのでした。
以上、映画「君の膵臓をたべたい」のネタバレあらすじと結末でした。
8.「君の膵臓をたべたい」原作から:通り魔の犯人と伏線、そして春樹と桜良それぞれの「君の膵臓をたべたい」が意味するものとは?
映画「君の膵臓をたべたい」では、原作にはなかった現代の設定が描かれていました。そして通り魔の犯人については誰であるかは明らかにはなっていません。映画同様に原作でも通り魔については詳しくは描かれておらず、伏線としては近隣で通り魔が出没しているということがテレビニュースで流れていた程度です。
さて、タイトルにもなっている「君の膵臓をたべたい」とは、昔の人はどこか悪いところがあると、他の動物のその部分を食べるという言い伝えを元にしたメッセージですが、桜良も春樹もお互いにこの言葉を贈り合っています。
まず、桜良から春樹への「君の膵臓をたべたい」について。自分の魅力は周りにいる誰かとの比較や友達によって作られていた、それが自分にとって生きることだと思っていた桜良は、春樹の1人でも生きられる強さに憧れていた。そんな他人との関わりを必要としない春樹が自分のことを本気で心配してくれたこと、生きてほしいと言ってくれたことで、初めて桜良は自分自身が必要とされている、唯一の自分という存在であると感じたのです。そんな春樹に必要とされるのを17年間待っていたのかもしれないと。そんな春樹への憧れから「君の爪の垢を煎じて飲みたい」ではなく「君の膵臓をたべたい」という言葉にして共病文庫に遺しています。
そして、春樹から桜良への「君の膵臓をたべたい」について。春樹はそれまでずっと他人に興味もなく孤独を貫いてきましたが、桜良と出会ったことで自分を変えられた。…のではなく、共病文庫をあの日病院で手にしたこと、桜良の病気を知ったこと、図書委委員の仕事を教えたこと、桜良といろいろな場所へ出かけたこと、桜良と笑うこと、それらすべては自分が自ら選んだことだと認識します。春樹は、自分とは正反対で病気や余命などに関係なく人間的魅力にあふれている桜良に憧れて、そんな人間になりたいと思ったのです。人を認め、認められる、人を愛し、愛される、そんな人間に…。春樹は嬉しかったのです、桜良が自分を必要としてくれたこと、役に立てたことに。そして気づきます。正反対の性格だった自分たちはお互いに憧れていたことに。そして自分こそ桜良に出会うために、それだけのために生きてきたのだと。
そして桜良の退院後、カフェで待ち合わせをしている時に春樹が最後に送ったメッセージ「君の膵臓をたべたい」。桜良の母親から見せてもらった携帯の記録から、その言葉はちゃんと桜良に届いていたことを確認した春樹。2人の気持ちはしっかりと通じ合っていたのです。
「君の膵臓をたべたい」感想・レビュー
-
感想2
-
感想3
-
感想4
-
感想5
-
感想6
-
感想7
-
感想8
-
感想9
-
感想10
-
感想11
感想1