君の名は。の紹介:2016年8月26日公開。映画「君の名は。」は新海誠が監督を務めるアニメ映画で前作「言の葉の庭」から3年ぶりの新作。東京に憧れる田舎暮らしの宮水三葉と東京の街で父と暮らす高校生の立花瀧。出会ったこともない2人がある日夢の中でお互いの身体が入れ替わっていることに気付く。戸惑いながらもお互いの生活を体験する2人、しかし、ある日を境にその入れ替わりは無くなってしまう…。主題歌はRADWINPSの『前前前世』。 公開3ヶ月で興行収入200億円を突破、邦画歴代2位の興行収入。中国やタイなど海外でも公開され歴代邦画興行収入トップを達成。JJエイブラムスによるハリウッドでの実写映画化も決定しました。
監督:新海誠 声優:神木隆之介(立花瀧)、上白石萌音(宮水三葉)、長澤まさみ(奥寺ミキ)、市原悦子(一葉/祖母)、成田凌(勅使河原克彦)、悠木碧(名取早耶香)、島崎信長(藤井司)ほか
映画「君の名は。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「君の名は。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「君の名は。」の予告編 動画
映画「君の名は。」解説
この解説記事には映画「君の名は。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
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「君の名は。」ロケ地・聖地
『君の名は。』の聖地ですが、瀧は東京都、三葉は岐阜県飛騨地方に住んでおり、それぞれの街並みも美しく描かれています。映画『君の名は。』で聖地として登場する糸守町のモデルは岐阜県飛騨市だと言われています。また、監督・新海誠の出身地は長野県ということもあり、劇中の湖のモデルになったのは、長野県の諏訪湖だと言われています。瀧が三葉に会いに糸守町を訪れるシーンはJR飛騨古川駅の実際の風景と全く同じで、駅周辺の住宅などの街並みまで細かく再現されています。その他のシーンでも飛騨が舞台として数々のスポットが登場しています。また、瀧が住んでいる東京では、四ツ谷駅周辺が良く登場します。瀧が奥寺先輩と会うのは四ツ谷駅が多く、JR信濃町駅付近の歩道橋も何度か登場しています。
「君の名は。」感想・評価1
新海誠監督作品。文句なしの星5つ。監督の特色でもある映像の綺麗さ、緻密さでいうと『言の葉の庭』の方が上だと思うが、作品の完成度でいうと完全に本作「君の名は。」の方が上だった。 東京の男子高校生と田舎の女子高校生の入れ替わりから話はスタートする。 よくある展開かなーと思いながら、見ていったのだが全然よくある展開ではない。 2時間弱の映画だが、一度もダレることがなかった。 主演の声優二人は入れ替わりがとてもスムーズで良かった。ほんと上手。 音楽も良かった。正直劇中歌として意味不明な部分もあった。だが、この映画とマッチしていた。 「君の名は。」ラストシーン。多分もう何年も何度も組み紐の女性に視線を奪われていて、その度に何かがあると思っていて、でも、それにどんな意味があるのかを忘れていて、声をかけるのはおかしいと思って逡巡の末にそのまま声をかけずにいたんだろう。その上でのあのラストシーンは、本当に良かった。 二人に幸あれ。
「君の名は。」感想・評価2
新海監督の作品は昔から見ている。全体通して見て思ったことは、「新海監督が変わったというよりは、むしろ、社会が新海監督を受け入れたのだ」と言う方がいいと思う。別に新海監督がおもねるようなことをしたわけではない。新海監督は、新海監督だった。全体的な甘さ、中高生のポエムのような言葉、このあたりが変わるわけではない。ストーリーも、各所で指摘されているようにムチャクチャだ。エヴァやシンゴジラのような圧倒的情報量と整理があるわけではない。まどマギのような計算されつくされたストーリーがあるわけではない。物語は破綻しているし、細部は詰められていない。口噛酒を飲んだらタイムリープと入れ替わりができる理由もわからないし、なぜ記憶が消えていくのかいまいちピンとこないし、「え、なんで?」と思うけど、その展開を疾走感でひたすら薙ぎ払っていく。最後、二人の邂逅で終わるのだけど、やっぱり新海作品じゃないかよーと思う展開だった。そしてそれが受け入れられて、この大ヒットになっているんだなと思った。主人公が3年前に消滅した隕石災害の村を見るシーンはよかった。自分の入れ替えわりをしていたヒロインが、実は3年前に災害で死んでしまっていた女性だったとわかるシーン。犠牲者名簿を見て、ヒロインの名前を見つけたシーン。死んだ人は戻ってこない。予告ではポップにただのとりかえばや物語かと思いきや、実は既に死んでしまった人だったという悲劇。そして、その悲劇を避けるために、歴史改変を試みる。インタビューでもあるけど、ここでは明らかに東日本大震災が意識されている。死んだ人は戻ってこない。どうしても東日本大震災になぞらえてしまう。2万人近い死者が出たこの災害と同様、三葉も戻ってこない。 観客にはそれが強くインプットされるのだ。前半のポップな内容からは一転して、どうにか災害を避けられないか、奔走していく様子が描かれる。そして我々は思うのだ、三葉が、助かってほしいと。東日本大震災で死んだ2万人と同じように、本当は戻ってこない。分かっている。現実ではそれはよくわかっている。でも、せめてフィクションの中では助かってほしい。そんな甘い夢を見たい。そして、新海監督の甘さはそれに答えるのだ。真夏の夜の夢。邯鄲の夢。胡蝶の夢。エンターテイメント。みんな助かった、というラストにすることは、企画段階から決めていたと監督はインタビューで答えている。観客と監督の答えが一致して、最後は新海節で終わる。それでいいじゃないか。そういう映画だった。
「君の名は。」感想・評価3
映画『君の名は。』は「ほしのこえ」で映画デビュー、「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」など、映像詩とでも言うべき美しいアニメーションを生み出し続ける新海誠の最新作。今回は、東宝の夏休みアニメとして、これまでにない規模の大作になっています。キャラクターデザインは「心が叫びたがっているんだ。」の田中将賀。印象的な主題歌はRADWIMPSが担当しています。映画『君の名は。』は、新海誠の集大成にして最高傑作と言っていいでしょう。新海誠作品ならではの息を呑む程に美しい美術、コンピューター作画ならではの光と陰の演出に3Dカメラアングルによる大胆な構図に、「言の葉の庭」でも見せた美しくも精緻な雨の描写など、ビジュアル面の美しさと完成度は、2Dアニメとしては最高レベル。『君の名は。』は物語の方も、“男女の入れ替わり”と言う「転校生」以来のお馴染みの展開に始まり、音楽に乗せた軽妙な青春コメディ路線を見せて行くけれど、中盤で大きく転換。予想外に壮大な物語を描いて行きます。得意とする映像美と、SF志向を無理なく見合わせたバランスもよく、この物語には圧倒されました。その中で描かれる、これまた新海誠らしいすれ違い――それも時空を超えて、と言うのは――これは「ほしのこえ」以来、新海誠が描いて来たテーマですし、その時間に隔てられた絶望的なすれ違いと届かぬ思いを、気持ちで超えた出会いのシーンの鮮やかさと、その後に訪れるクライマックスのカタストロフを唐突に切った辺りも潔い。そして、その後のエピローグこそ、真のクライマックス。これまた余韻を残してすぱっと切った鮮やかさ。「秒速5センチメートル」以降、PV風と呼ばれる音楽と映像の組み合わせだけど、本作『君の名は。』では完成度が極めて高く、音楽によって展開を早め、あるいは情感を盛り上げる、その手腕はこの種の演出を得意とするハリウッド映画にも引けをとりません。ただ、クライマックスで台詞と歌詞が被る辺りはちょっと気が散った感もありますが…… 映画『君の名は。』で主演の2人の声をあてていたのは、声優としてのキャリアも十分な神木隆之介と、「舞妓はレディ」で言語能力の高さを証明した上白石萌音で、これまた本業の声優並に見事なもの。また、鑑賞後の館内では「このキャストのまま実写で観たい」と言う声も出ていてそれはなるほど、と思いました――まぁ、あの“世界”はアニメじゃないと描けないだろ、とも思ったけど…… あと、奥寺先輩役は長澤まさみなのだけど、声に艶があっていい感じだなぁ…… 映画『君の名は。』はもう、今年のアニメベスト作品はほぼ確定、映画『君の名は。』はアニメ史上でも屈指の傑作ではないでしょうか。
「君の名は。」感想・評価4
「君の名は。」は新海誠監督が描き続ける男女の擦れ違いの集大成ここに在りという出来でした。今年の泣ける映画No.1だと思います。主人公の立花瀧と宮水三葉の配役は普通に違和感はなく、それよりも自分は長澤まさみ(奥寺ミキ)に惹かれましたね。こういった姉御キャラはさすがにうまいです。始めの方を見て、ジブリや「時かけ」・「サマーウォーズ」、「あの花」・「心叫」が混ざったような映像だと思いました。制作している人達がそれらに関わっていたので納得でしたが、もう1つ感じたことがありました。それはこれまでの新海誠作品のオマージュ作品ではないのかと。『言の葉の庭』のユキちゃん先生が出たときは「ファンサービスだなぁ」と思っていたのですが、スマホを使ったやりとり、夢を見るという設定、バイトに明け暮れる日々、スケッチに熱心に描きこむ姿、擦れ違って振り返るシーンなどを見ていて、「あぁ~、過去の作品のあのシーンに似てるかも?」と思うことがありました。「自分がやりたいことを全部詰め込んでほしい」と言われた監督がそれを実行した感じが存分に伝わってきましたね。そして、「君の名は。」ではこれまでと違う新海誠を感じました。1.笑いやユーモアが盛り込まれたこと 2.映像美よりストーリー性を追求したこと 3.ハッピーエンドであること。1は過去の作品でほとんど見られず、シリアスな主人公が多かったので、新鮮でした。 2はストーリーは長編でもあったためか、これまでのような主人公の心情を深くえぐったようなことはせず、わかりやすいストーリーに終始していたと思います。物語のキーになる言葉やアイテムがあったのも特徴でしたね。 そして3はこれまでとはっきりとした違いでした。おそらく本作「君の名は。」は大衆に受け入れられる為の作品を創り上げたのだと思います。新海誠監督による日本のアニメ映画監督としての地位を確立するために。キャラデザを人気の田中将賀にしたのも、音楽をRADWIMPSにしたのも、声優を俳優にしたのも突き詰めるとそこに行きつくと思います。「君の名は。」は大ヒット間違いなしで、それを見事に実現することができたわけです。素晴らしいですね。「君の名は。」はTVシリーズにしても楽しめると思ったので、1年後ぐらいにTVシリーズとして追加映像も踏まえて実現してほしいですね。
「君の名は。」感想・評価5
中盤から終盤にかけて何度も泣かされました。タオル持っていっておいて良かった。感想を一言で言うと「切ない」 基本的には多くの人が語っているように大林監督の「転校生」×細田監督の「時をかける少女」って感じです。男女入れ代わりと時間、距離の隔たりの男女の恋。個人的には、最初のモノローグは折原みとの「夢みるように、愛したい」の世界観だな、と思いました。こういう笑いと切なさの混在する作品大好きです。不変のテーマを現代風にアレンジし、ファンタジックな要素も神社と彗星を使って自然に感じられるよう構成されていました。時をかける少女や夢みるように~と違って、切ないまま終わらないのも満足感がありました。(2作品はその切なさが堪らないのだけれども)そして伏線回収がスッキリ。プロローグ的な部分が、後半に繋がってくるので、全部見たあとにもう一度確認のために見たくなります。複数回鑑賞を狙った上手い作り。絵柄は噂通りとても綺麗。写実的な風景によるリアリティーと、崩した人物によるコミカルさのバランスが良かった。作画監督は「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」を手掛けた方で、キャラデザが「あの花~」の方ということで、さすがの一言。 プロデューサーは「電車男」や「バクマン」の人。文字情報が画面に沢山出てくる演出が似てました。テンポの良さも。飽きさせない展開、現代の日常にプラスファンタジー、王道のテーマでとても良いエンターテイメント作品となっていて面白かったけど、万人受けするのかは少し疑問。低年齢のこどもはこれ見てどの程度感情移入できるのか。楽しめるのか?青春から遠ざかったアラフォーはノスタルジックに浸れるところが最高でしたが。ポスト宮崎ポスト細田という記事も見ましたが、興行収入100億円突破も、強力なリピーターの力があるので、ジブリ作品とはまた違うところにある作品だと思います。初期ジブリは年齢問わずの作品。世界観も方向性も違う。何だかんだ言っても、10年前に時をかける少女を観たときの衝撃再び、の満足いくアニメ作品でした。
「君の名は。」感想・評価6
今まで映画の文脈においてはシーケンシャルに、時制の上ではパラレルな関係であった二人が、場所を乗り越え、時空を超え、初めて出会うあの瞬間こそは、身悶えするほどロマンティックに刺激的だ。そして耽美だ。と、僕は思う。この映画が面白い理由は主に2点。
① メインディッシュオンリーのフルコース型である
② 川村元気のプロデュース力恐るべし、である
この映画に感動しなかった人はきっとこんな人。
③ そもそも「セカイ系」インポテンツである
④ いわゆる青春から完全に卒業しており、今生きる世界が現実的であるため、脚本の粗が許せない人である
① メインディッシュだらけのフルコース型である
現代映画らしく速い展開で、日本人が大好きな複数のテーマを扱う。これがこの映画の最大の魅力であると思う。 映画序盤は、男女入替モノ。そこから『時をかける少女』などの時代タームワープモノ(僕は同時に『ある日どこかで』(1980)なんかを思い出したりしました)。『ディープインパクト』などのような隕石落下モノ。ノスタルジーモノ。成長モノ。『サマーウォーズ』のようなチーム作戦モノ。 それぞれ1要素でもあればそれだけで1本の映画になってしまうようなメインディッシュクラスのテーマを、観客が飽きないよう速い展開でささっと提示してくるので、観ていて飽きないどころかハイテンションのまま120分を駆け抜けます。 僕はそれがこの映画の面白さの根幹だと思うのです。刺激物ばかり見過ぎて脳が破壊される感じに近い。肉料理だらけのフルコース? 基本的には、主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性を描いたいわゆる「セカイ系」です。 上手いなーと思うのが、セカイが崩壊した後、おそらくその対義語の部類であろう「社会」に、主人公のベクトルが向かう。 それは日本で生きている20代の社会人であればその大半が経験した脱皮。(さらにはポスト311の文脈も絡み、観客は一層リアリティを感じるのだと思う) セカイが青春真っ最中の少年少女しか見ることができない彼らの特権であるならば、この映画の着地は青春からの脱却であり、20代~30代以上からも熱烈に支持される切なさを描いているような気がします。これだけ幅広い層から支持されると、社会現象になりますわな。
② 川村元気のプロデュース力恐るべし、である
この映画の前提にあるのが、言わずもがな映像美だと思います。冒頭のシーンから印象的に美しい。 作画監督は安藤雅司。この辺は僕のような一見さんではなく、通の方、もしくは実際のご鑑賞をおすすめします。 あとはRADWIMPS。この人たちの曲をまともに聞いたことなかったので、鑑賞前からかなりの不安がありました。実は。 オープニングテーマや途中の掛け合いのシーンで流れるギターロックを聞いて、曲の自己主張具合が鼻につきました。正直。 しかし後半は、歌詞と映画の内容がシンクロするクライマックスは「ああ、これがしたかったのね」という納得のコラボ。 いわゆるMV的とも捉えられるくらい曲が中心に据えられる。BGMではなく、まるで脚本かかれている演者のよう。 好みではないが、多くの人を虜にする魅力は感じました。 ここまでではないにしろ、EDが印象的だったなーと思い出したのが『バクマン。』。このプロデューサーは川村元気。やはり恐るべし。
③ そもそも「セカイ系」インポテンツである
セカイ系に対し、そもそも不干渉の人は多い気がしています。特に30代以上。 若者の中二病加減に嫌悪感を示す人もいれば、④の人もいる。これは人それぞれ。というか好みの問題じゃ。
④ いわゆる青春から完全に卒業しており、今生きる世界が現実的であるため、脚本の粗が許せない人である
「現実はこんなにキラキラしてないよ」と思ってしまう人。そんなこと言いだしたらすべての映画の卓袱台をひっくり返しているようですが、この作品はアニメだけあって、超キラキラしている。ひたすらキレイ言です(これ実写でやったらきついぜ)。 セカイから社会に落ち着く分、セカイからひきずっているキラキラと、今僕たちが生きている社会の厳しい現実の間のギャップに違和感を覚える人も多いのでは? そこに疑念を覚えてしまうと、①のフルコースであるが故の矛盾、脚本の祖語、粗を許せないのはすげーわかる気がする。 セカイと社会を含めたこの映画の世界観に全て受け入れられるのであれば、細かい脚本の粗は気にならない。むしろよくこれだけの壮大なてんこ盛りを120分に収めたね。って感じ。